Saturday, October 15, 2011

ぶさいくだけど可愛い?ペンギンのピッチャー

突如として我が家の食卓に出現した謎の物体。実はこれ、ペンギンの形をしたピッチャーで、アルゼンチンではレストランやバールでワインを入れるデカンタとして使われているものです。
アルゼンチン南部には、マゼランペンギンの繁殖地として有名なプンタ・トンボという地区があり、繁殖期にはなんと50万羽ものマゼランペンギンがここに集まってくるのだとか。ブエノスアイレスに住んでいると、1600kmも離れたところに集まるペンギンさんたちを意識することはほとんどないので、日本といえば鶴、中国といえばパンダといったように、アルゼンチンといえばペンギン!という発想がすぐに浮かんでくるわけでもなく、どうしてペンギンを模ったのか、その誕生秘話を知りたくなってしまいますが、どのようにしてこれが作られたのかは今のところ不明です。
一口に「ペンギンの形」といっても、その大きさ、デザイン、色には様々なバリエーションがあって、一番ポピュラーなモデルは雑貨屋「Calma Chicha」で売られているような茶色のもの(画像右)。また、レストランによってはこのように→シュールなペンギンがペイントされているものが使われているところもあります。

私が買ったのは「Bartolomea」のオリジナル(画像左)。鋭い目に、ちょっと挑発的(?)なくちばしも、優しいパステルカラーになっていると憎めません。デカンタ以外にも、水やジュースを入れたり、また小さなサイズのものはミルクピッチャーとして使うのにぴったりです。
それにしても、食卓にマゼランペンギンとは・・・。この大胆な発想の原点をご存知の方がいらしたら、ぜひ教えてください。


☆Calma Chicha
Honduras 4909 
Tel. 4831-1818

☆Bartolomea
J. F. Segui 3720
Tel. 4809-3179
*「Bartolomea」についてはこちら↓の記事でも紹介しています
http://preciosas31.blogspot.com/2011/05/bartolomea.html

Monday, October 10, 2011

アルゼンチン生まれの「逞しい優美」 [Paloma Herrera]

来たる10月14日(金)、ニューヨークの5番街に「世界最大」を誇るユニクロの旗艦店がオープンします。ユニクロのUSサイトではこれを記念して「Voices of New York」という特集を組み、各分野で活躍するニューヨーカーたちの横顔を紹介しているのですが、この中にひとり、アルゼンチン人女性が含まれているのをご存知でしたか?
彼女の名前はパロマ・エレーラ(Paloma Herrera)。ニューヨークに本拠地を置くアメリカ最大のバレエ団「アメリカン・バレエ・シアター」(ABT)のプリンシパルを務めるダンサーです。
パロマは1975年12月21日生まれのポルテーニャ(ブエノスアイレスっ子)。7歳でアルゼンチンの権威ある「コロン劇場高等芸術学院」に入学し、著名な講師オルガ・フェリの指導を受講。選りすぐりのエリートばかりが集まる同校で際立った才能を発揮したパロマは、14歳のとき、ブルガリアのヴァルナ国際バレエコンクールのファイナリストに選ばれたことがきっかけで英国国立バレエ団に招待され、そこで同じアルゼンチン出身のバレエ講師であるエクトル・サラスペと運命的な出会いを果たします。ニューヨークのジュリアード学院の講師を務めるサラスペの勧めから、ABTスクールで半年間の研修を受けた後、ブエノスアイレスに帰る前日、同氏によって「今こそチャレンジすべき」と背中を押されてABTのオーディションを受けることに。「どうせ落ちても失うものはないし」という気持ちで受けたオーディションでパロマは見事合格、弱冠15歳でABTと契約を交わし、19歳で同カンパニーの史上最年少のプリンシパルに選ばれるという栄誉を経て、今年でABT在籍20周年を迎えました。

 99年にはダンスマガジン誌から「20世紀の10大ダンサー」のひとりに選ばれ、「バレエダンサーとして完璧」と言われるほど恵まれたフィジカルの持ち主であるパロマの魅力は、手足の指先までしっかりと表現される、しなやかさと力強さが融合した動きにあると言われています。幼い頃から踊りが大好きで、15歳のときにABTから契約の話を持ちかけられ、両親に相談するまでもなくニューヨークに留まる決意を下したことも、彼女にとっては当然の結果だったそう。サラスペから「今この時を逃してはならない」と言われなければオーディションは受けていなかったというエピソードからは、多感な時期に人の話に耳を傾ける知性、好きなものに対する情熱、失敗を恐れない勇気と決断力といったことの大切さを思い知らされます。優美な動きの中に秘められた逞しさは、彼女のそういった内面的な強さが生み出しているに違いありません。

*バレエに詳しいお友達から耳よりなニュース!今年の12月18日から28日まで、パロマがABTのパートナーであるギヨーム・コテと一緒にコロン劇場にて「海賊」(Le Corsaire)を踊ります。ご興味のある方はコロン劇場のサイトで詳細をご確認ください。
☆コロン劇場・「海賊」公演お知らせのページ↓
http://www.teatrocolon.org.ar/es/index.php?id=ballet/elcorsario

(Photos via Sitio Oficial de Paloma Herrera)

追記:パロマが「Voices of New York」で見せている全身黒&シルバーのダウンベストの着こなし、素敵ですね。ユニクロさん、宣伝効果ばっちりですよ!

追記2:パロマの名前の正式な発音は「パロマ・エレーラ」ですが(スペイン語ではHは発音しません)、日本では「パロマ・ヘレーラ」と表記されることが多いようです。

Wednesday, October 5, 2011

[番外編] 喜ばれる日本のギフト

こちらのブログでは今まで、いくつかの「アルゼンチンのおみやげ」を紹介してきましたが、長年アルゼンチンに住んでいる私の場合、日本に一時帰国した際に「日本のおみやげ」をこちらの知り合いのために買う機会の方が多いのが実情です。インターネットの捜索サイトで「海外へのおみやげ」をサーチしてみると、それはそれは様々な商品が出てきて面白いのですが、「人気のあるプレゼント」とされているなかには、人気度のほどがちょっと疑わしい物も。贈る相手にもよりますし、好みや趣味もそれぞれなので、一概に「これがベスト」と言えるものはありませんが、今回は私が過去、「アルゼンチン人女性に贈って喜ばれた日本のギフト」を紹介したいと思います。まず、大抵の女性に喜んでもらえるのは「お香」。中でもこちら(←画像左)のように、小さな木箱に入ったお香立てとのセットになったものは、ラッピングを開けた瞬間に「きゃ~♪」という歓声(?)があがったほど。香りは特に人によって嗜好が異なるので難しいところなのですが、フラワー系の優しい香りを選べば無難でしょう。海外では一般的に「日本のもの=繊細なもの」というイメージを抱いている人が多いので、小さくて細かくて可愛らしいものは好評です。桜をイメージしたこのお香は日本香道の製品で、同社のサイト(こちら)にて詳しい説明をご覧いただくことができます。

もうひとつはこちら(画像右→)、私も愛用している南部鉄器のカラーティーポット。岩手県の伝統工芸品である南部鉄器は、いまや「iwachu」の呼び名のもと、フランスを始めとするヨーロッパで大人気。ブエノスアイレス市内でも雑貨店でベーシックな黒い鉄器が販売されていますが、カラーバリエーションはほとんどありません。日本にはピンク、白、紫、ローズ、空色にミモザ色といったモダンなカラーの他、モカゴールド、ブラウン、紺色といったシックなものまであって、紅茶が好きな方へのギフトには最適です。実はこのカラフルな南部鉄器は、岩手県の工房で海外への輸出向けに特別に作られているものなのだそう。日本では「オ ドゥラ デ メール」(http://www.uminokanatani.com/)という南部鉄器カラーポット専門店にて購入可能です。
また、紅茶が好きな方だったら、日本のお茶筒も喜ばれます。特に友禅柄の和紙で包まれたお茶筒(画像右→)は、いかにも日本らしくて可愛いですよね。 お茶を入れなくても、キャンディーを入れる缶としても使えるので重宝がられます。 お茶屋さんで扱っていますが、私は今年の1月、一足先に日本からアルゼンチンに戻った夫を見送りに成田空港に行った際、港内のギフトショップで小ぶりの可愛いお茶筒を見つけて、おみやげ用に大人買いしてしまいました。「いかにも」な外国人用ギフトショップでも、決して侮ってはなりません。
ちなみにアルゼンチンでは、プレゼントを受け取ったらその場ですぐに開けてみるのがエチケット。いただいたものをそのまま開けずにもらって行くことは、相手に不快感を与えることもあるので、どうぞお気をつけくださいね。

追記:うちの夫(ウルグアイ人)はその「いかにも」な日本のギフトが大好き。古都で見かける「100%外国人観光客向けおみやげ屋さん」に足を踏み入れると、大好きな侍関連のグッズ(兜とか刀とか!)を真剣に物色し始めるので、私はひたすらその横で「大きな置物はダメよ~」と言い聞かせるのでした・・・。

Saturday, October 1, 2011

こだわりカフェめぐり その8 [FARINELLI]

レストランやカフェでメニューを見ながら「これって一体どんなお料理なのかしら?」と思うこと、ありませんか。ウェイターさんに聞けばすぐに解決しますが、言葉が通じない国に行ったときは、質問することも、説明の内容を理解することもできなかったり、または言葉が通じるところでも時々、想像していたものと全然異なるお料理が出てきて驚愕!なんていうこともありますよね。でもここ「FARINELLI」(ファリネッリ)では、そんな心配はご無用。その日にお店でサーヴされるものの全てが入り口のカウンターに並べられているので、一目瞭然なのです。
オーナーのマリーナ・ビソーネは、自他共に認める究極のグルメ。17歳のころから世界中を旅して周り、パリの大学で哲学を専攻したあと、帰国してアートギャラリーで働いていたという好奇心旺盛の才女なのですが、とにかく美味しいものを食べることが大好きで、09年11月、このお店をオープンしました。
小さな店内は白とオレンジを基調としたシンプルな空間になっていて、居心地抜群。朝と午後のティータイムにはクロワッサンやスコーン、ケーキやパイが、ランチタイムには日替わりメニューがずらりと並べられます。ランチメニューは、夏場なら冷たいガスパッチョや生春巻き、寒い冬には煮込み料理といったふうに、グルメなマリーナが厳選する「旬の味」が登場。食には保守的なことで知られるアルゼンチン人ですが、マリーナは目新しいものをメニューに取り入れることにも躊躇しません。「例えば中東の料理でパリでは定番のファラフェル(ヒヨコマメのコロッケ)を出したらとても好評だったの!」と嬉しそうに話す彼女が誇るFARINELLIのコンセプトは「自分の食べたいものを、食べたい分だけオーダーできること」なのだそう。そう、ここではまず、カウンターで食べたいものと飲み物をオーダーしてからテーブルにつくことになっているので、冒頭で述べたようなサプライズもなくて安心なのです。
何を食べても美味しいのですが、焼き菓子類で特におススメなのがチーズケーキ!イチゴ(画像左)とパッションフルーツの2種類あって、クリームチーズの濃厚な味と舌触りを残しつつも、こってり感がしつこくなくて美味。その他、こちらのブログにコメントをくださった香港在住のMarikoさんが絶賛されたタルト・タタンも、キャラメライズされたリンゴのちょうどいい焼き加減が自慢の絶品です。あと、私が個人的に高く評価しているのが「illy」のコーヒーをサーヴしていること。イタリアのエスプレッソ文化を代表するブランドのひとつであるillyのコーヒーはやっぱり美味しい。こういうところにも、食通であるマリーナのこだわりが感じられますよね。
日替わりランチメニューは毎日FacebookのFARINELLIのページ(http://www.facebook.com/farinelliba)で更新されます。テイクアウトもできるので、天気のいい日はここでキッシュとサンドイッチ、チョコレートクッキーを買って、お店のすぐ近くにある大きな公園Plaza Las Heras(プラサ・ラス・エラス)の芝生の上でピクニックというのもいいですね。

FARINELLI
Bulnes 2707 (Cerviño通りとの角近く)
Tel. 4802-2014
*オープンは月~土の8:00~20:00 

追記:マリーナはとても若くて可愛い才能溢れる女の子。経営学を勉強したわけでもないのに、住宅街の真ん中にちっちゃなカフェをオープンして成功させるまでのエピソードには感心させられました。やはり、自分の好きなことにこだわりを持っている人の情熱には共感を覚えます。
 

ブログをなかなか更新することができないので、「ブエノスアイレスの日常」をインスタグラムにてゆるりと紹介しています。これからはこちらをフォローしていただけると嬉しいです♪ http://www.instagram.com/jpportena