Wednesday, December 26, 2012

ポロの英雄による本物のポロ・ブランド [La Dolfina]

アルゼンチンが世界有数の「ポロ王国」で、毎年、トップクラスの選手たちによる超ハイレベルな大会が行なわれるということについては以前このブログにも書いたとおり(記事はこちら:http://precious31.exblog.jp/12713010/)。今回は、その記事でも取り上げたポロ界の英雄アドルフォ・カンビアッソがプロデュースするアパレル・ブランド「La Dolfina」(ラ・ドルフィーナ)を紹介しましょう。

アルゼンチンでポロに興じる人の数はおよそ3000人。そのほとんどが欧州の貴族の末裔である中、貴族の血を引き継がず、それでも世界一と言われるテクニックを持ち、自身が所有する農場に最高級の馬たちを揃え、英国王室のヘンリー王子にもその技術を伝授したことで有名なカンビアッソ(画像左♥)。 そんな彼が、自分のチーム「La Dolfina」とそのライフスタイルをテーマとしたメンズ専門のアパレルブランドを発表したのが04年のこと。以来、アルゼンチンのハイセンスな若者たちから圧倒的な支持を得てどんどん店舗数を増やし、今月初め、ブエノスアイレス市内の一等地に旗艦店をオープンさせました。



扱っている商品は、カンビアッソのチーム「La Dolfina」のユニフォーム(画像右)をはじめ、ポロシャツはもちろん、今流行りのプレイド・シャツにTシャツ、フーディーにセーター、ロング&ショートパンツに靴まで全てがオリジナルデザインで、どれもこれもアルゼンチン製とは思えないほど(失礼!)上質。特に綿100%のポロシャツのソフトな着心地は、天下のラルフ・ローレンにも勝るほど。「さすが世界一のポロプレーヤーが作らせる本物のポロシャツだけのことはある!」と納得させられます。
また、アルゼンチンならではの良質で柔らかな革で作られたジャケットは、普段着をちょっとクラスアップしたいときに最適なアイテム。私の夫はブランドがオープンしてすぐに革のジャケットを購入しましたが、8年経った今も愛用し続けています。



広い店内の奥には、アルゼンチンのポロを称える「ホール・オブ・フェイム」が常設。「La Dolfina」の他、カンビアッソにとってはライバルであり、この国のポロ文化を守り続ける同胞でもある他の選手たちのチームを、それぞれの歴史や功績と一緒に紹介する一種の博物館のようになっています。小さなスペースですが、彼のポロに対する情熱を感じていただけることでしょう。

お店の入り口には、カンビアッソのトレードマークでもあるアルゼンチン国旗柄のヘルメットと、その国旗の真ん中にある太陽が描かれていて、ドアを開ける前からなんとなく愛国心をくすぐられるような気分に。店内には年代ものの重厚なソファーがいくつか置かれているので、男性陣がお買い物している間、女性や子供たちはゆったり座って休んでいられます。こういうところに、自身も3児のパパであり、「家族の支えがあってこそポロは代々引き継がれていく」というカンビアッソのアイデアが反映されているような気がします。
古き良き時代の欧州の伝統が息づくアルゼンチンならではの、ポロの英雄が作る本物のポロ・ブランド「La Dolfina」の服を着て、ちょっとポルテーニョ(ブエノスアイレスっ子)気分を味わってみませんか。

La Dolfina
旗艦店:Av. Figueroa Alcorta 3399
(Ortiz de Ocampoとの角 / レコレータ地区)
本店:Av. Alvear 1751
(Rodriguez Peña通りとCallao通りの間 / レコレータ地区)
支店:Martha Salotti 454(プエルト・マデーロ地区)

*その他の店舗についてはLa DolfinaのFacebookページ(https://www.facebook.com/ladolfinaok)にてご確認ください

マクシマ妃ご用達のブランド [Peter Kent]

アルゼンチンは、とても上質な革の生産地として知られています。世界的に有名な一流ブランドの中には、なめされた状態の革だけをアルゼンチンから輸入して、そこから製品を作っているところもあるほど。国内には質が良くて可愛いオリジナルのレザーグッズを扱っているお店がいくつかありますが、今回はオランダ皇太子妃もご用達というブエノスアイレスのブランドを紹介します。

多くの方がご存知のとおり、オランダのマクシマ皇太子妃(画像右:オランダ王室公式サイトより)はアルゼンチン人。天真爛漫で知的で、笑顔がチャーミングなマクシマ妃は好感度が高く、オランダの人たちからも愛されています。そんな彼女が公私問わず愛用しているのが「Peter Kent」のバッグ。「ピーター・ケント」なんて、まるでアメコミの主人公の名前みたいですが、国産にこだわるれっきとした100%メイド・イン・アルゼンチンのブランドです。1972年にブエノスアイレスの高級住宅地レコレータに店舗をオープンさせてから、今年で創業50周年を迎えました。

独自の手法でなめされた上質な革で、バッグや小物、ベルト、ジャケットといった様々な製品が作られている中、最も有名なのがマクシマ妃もご愛用のこのバッグ(画像上&左)。お店では「1112」という商品番号で呼ばれていますが、顧客の間ではミニ・トランクを意味する「baulito」(バウリート)という愛称で親しまれています。
ころんとしたデザインに、アルミキャスト製の持ち手がとっても可愛いバウリート。中でもマクシマ妃が愛用しているベビーピンクのものは、オランダのファッション誌で、なんとルイ・ヴィトンやマルベリーのバッグと一緒にmust haveアイテムとして紹介されるという名誉を授かりました。色は他にもブルー系やオレンジ系などがあり、多彩な展開となっています。
(Fotos: Prensa Peter Kent)

バウリートの他に人気なのがこちらのエコバッグ(画像左)。コットン地に革底のバッグで、くるくるっと丸めておいて、必要なときにサブバッグとして使えます。いろんな色がありますが、私はちょっと豪華なシャンパン・ゴールドを選んでみました。「Buenos Aires」という文字が入っているので、おみやげにしてもいいですね。
他にも、シンプルでシックなものから斬新でカラフルなデザインのものまで、ステキなものがたくさん。マクシマ妃ご用達のお店で、アルゼンチンが世界に誇る革製品を手にとって、ぜひその質の良さを実感してみてください。

Peter Kent
本店:Arenales 1210(Libertad通りとの角 / レコレータ地区)
支店:Av. Alvear 1820(Callao通りとの角 / レコレータ地区)
*ショッピングモール「Paseo Alcorta」の3階にも店舗が入っています
*Facebookページ: https://www.facebook.com/PeterKentHandbags

Monday, October 1, 2012

甘い幸せ、見~つけた! [Smeterling]

甘いものが大好きな人にとって、美しいケーキが並ぶショーケースを眺めながらどれをいただこうかと選ぶときほど幸せな瞬間はありません。特にそれが見た目にも美しいケーキだったら、まるで恋する乙女のようにわくわくしてしまいます。ブエノスアイレスの高級住宅街レコレータ地区にあるパティスリー「Smeterling」(スメーテルリン)は、そんな幸せを体験するのにぴったりのお店。窓を飾る艶やかで色とりどりのケーキたちに誘われて、ついつい中に入ってしまう魅惑の世界です。でも、これほど完璧で美しいケーキたちが、まさか20年近くもIT関連の仕事をしていた元キャリアウーマンによって作られているなんて、きっと誰も想像できないことでしょう。
「Smeterling」のオーナー兼パティシエのイサベル・ベルマルは、 元インダストリアル・デザイナー。一昨年、長年勤めたヒューレット・パッカード社に別れを告げ、趣味だったお菓子作りを活かしてパティスリーを開きました。

でも、「Smeterling」は他のパティスリーとちょっと違います。お店の中にショーケースがあり、店員さんがその後ろで客の応対をするというのが一般的ですが、「Smeterling」のケーキは全部、通りから見える窓際に並べられていて、お店の中にはなんと調理台、そしてその前にはカウンターがあって、ケーキと一緒にコーヒーや紅茶をいただけるスペースが設けられています。「ひとりでキッチンに閉じこもるのではなく、会話を楽しみながらお菓子を作るのが好き」というイサベルのアイデアで、作り手と客が向かい合って交流できるスペースになっているのです。私がカウンターでコーヒーとケーキをいただいている間も、お散歩中のご婦人がふらりと入って来て、「昨日買ったケーキ、美味しかったわよ!」とだけ報告して出て行ったり、たくさんの書類を抱えた女性が「外回りに疲れたからちょっと休憩するわ」と言いながら、隅っこのソファーに腰掛けてお茶を飲んだり。ケーキの美味しさだけでなく、イサベルの人懐っこさに惹かれて常連客になる人も多い様子がうかがえました。
 ケーキのバリエーションはチョコ系、シトラス系、ベリー系など約12種類ほどあって、うち1つか2つは季節ごとに変わります。例えば、春真っ盛りの今だったらラベンダーとピスタチオのケーキ(画像左)。お味はいずれも保証付きですが、どれも「アルゼンチンサイズ」。ひとつを二人でシェアできる大きさです。他にもマカロンやカップケーキ、クッキーなどがあって、持ち帰りはもちろん、いずれもその場で食べることが可能です。

 ちなみに、お店の名前になっている「smeterling」とは、ドイツ語で「蝶」を意味する「schmetterling」(シュメッターリング)の発音をスペイン語風に表記した造語。「華麗な変身を遂げる蝶のように、素材を美味しく美しいものに作り上げるという自分の日課を表しているのよ」と話してくれるイサベル自身が、まるでキャリアウーマンからパティシエに変身した蝶のようにいきいきと輝いて見えました。

Smeterling
Uruguay 1308(Juncal通りとの角近く)
Tel. 5294-6070
*公式サイト:http://www.smeterling.com
*Facebookページ:Smeterling

Sunday, September 16, 2012

こだわりカフェめぐり その13 [Magendie]

今回紹介するのは、「Magendie」(マジェンディ)というとてもステキなカフェレストラン。実はここ、私にとって「ちょっと残念なこと」を体験していたカフェでした。と言うのも以前、片隅に設けられている雑貨ショップの棚にスージー・クーパーのティーセットがずらりと陳列されているのを見つけ、吸い込まれるようにお店に入っていったのに、それらは展示してあるだけで、購入できずがっかりしたということがあったのです。以来、なかなかこのお店でゆっくり過ごす機会がありませんでしたが、先日、久しく会っていなかったお友達とここでランチをすることに。奇遇で面白かったのは、一足早くお店に着いたお友達が、非売品のティーセットに悔しがるという、私と全く同じ体験をしていたことでした(笑)。



スージー・クーパーのティーセットを展示するようなセンスを持っているだけあって、店内にはシンプルでありながら、窓際や壁のオブジェを活かした可愛らしいデコレーションが施されています。「Magendie」という名前は、19世紀初頭のフランスの栄養学者フランソワ・マジャンディーからとったもので、オーナーの栄養士マルティン・ビニュエラとその友達フアン・オリベラは、このカフェレストランを通じて、バランスの取れたヘルシーな食生活を推奨しています。アルゼンチンのヘルシーフードというと、どうしても味気なくて美味しくない印象が強いのですが、ここの食事はなかなかのもの。メニューはいずれも、ヘルシーでありながら素材の美味しさを活かしたプレートばかりです。(画像右:チアシードや胡麻をまぶしたチキンとサラダのランチセット)
カフェ・コン・レチェにパンという典型的なブレックファストメニューには、新鮮なフルーツと野菜で作られるリクアード(スムージー)や、パッションフルーツのソースにグラノーラがトッピングされた自家製ヨーグルトを追加するのがおススメ。量は結構たっぷりめなので、朝は軽く済ませたいという人はリクアードとヨーグルトだけで十分かも。
ヨーグルトだけでなく、パンもジャムももちろん自家製。カフェにはパンだけを買いに訪れるお客さんもたくさんいます。

太陽光がさんさんと降り注ぐ気持ちのいい店内で、ヘルシーで美味しい食事をいただく幸せ。残念な思い出があったカフェだったのに、今ではすっかり「スージー・クーパーのコレクションもいつか販売してくれるかも!」なんて期待を抱きながら、週ごとに替わるランチメニューを目当てにしばらく通い詰めしてしまいそうなくらいのお気に入りとなりました。

Magendie
Honduras 5900(Ravignani通りの角 / パレルモ・ハリウッド地区)
Tel. 4772-0022
*公式サイト: http://www.magendierestaurante.com/
*Facebookページ:Magendie Restaurante

Sunday, September 2, 2012

Violraviolの実店舗がオープン!




このブログの読者の皆さまにはもうすっかりお馴染みのブランド「Violraviol」(ビオルラビオル)が、この度、ついに待望の実店舗をオープンしました!
良質な純アルゼンチン産のヴィンテージ・ファブリックを使って、クリエイター兼オーナーのセシリア・ソンシーニによって作られるチャンギート(お買い物用カート)やエプロン、ランチョンマットなどのレトロ可愛い生活雑貨の数々がずら~っと店内に陳列されている光景に、思わず歓声をあげてしまいたくなります♪


思えば、初めてブログでViolraviolを紹介したのは、セシリアがブランドを立ち上げて間もなかった09年3月のこと(当時の記事はこちら)。その頃から、いつかは自分のお店を持ちたいと話していた彼女が、慎重に店舗を探し続けて約3年。 その間、セシリアのアトリエやセレクトショップ、又はオンラインでのみ販売されていましたが、ようやくお店で気軽に、好きなときにお買い物が楽しめることになったというわけです。
そして、実店舗オープンと同時に、ソーイングがお好きな方に朗報!今回から、商品に使われている端切れのセット(画像左)が買えるようになりました。以前、アトリエを訪問した日本人のお客様から端切れが欲しいというリクエストがあり、セシリアはそこからアイデアを思いついたそう。端切れといっても、きちんと49cm四方に裁断されていて、クッションがひとつ作れるサイズ。しかも「アルゼンチン産でこれだけ質の良いものは、問屋街に行っても絶対に見つけることはできないのよ!」とセシリアが太鼓判を押すファブリックなので、小さなバッグや、お弁当を包むナプキンに変身させても良さそう。もしお店の中に見当たらなかったら、問い合わせてみてくださいね(端切れはスペイン語で「retazo=レタッソ」と言います)。

Violraviol
El Salvador 5894(Carranza通りとRavignani通りの間 / パレルモハリウッド地区)
*公式サイト:http://www.violraviol.com
*Facebookページ: https://www.facebook.com/violraviol

*追記:Violraviolの製品には、デザインのひとつひとつに名前がついているのですが、実は私の名前がついているエプロンもあるのですよ!ちょっと照れてしまうほど可愛らしい柄です(笑)。

Friday, August 31, 2012

エバ・ペロンの魅力を知る [Museo Evita]

誰でも一度は「エビータ」という名前を耳にしたことがあると思います。
エビータとは「エバ」の愛称で、実在したアルゼンチンのファーストレディ、エバ・ペロンのこと。彼女の波乱に満ちた人生は1978年にロンドンでミュージカル化され、今年4月から33年ぶりにブロードウェイで再演され大ヒットしています。マドンナが主役のエビータを演じる同名の映画をご覧になった方も多いのではないでしょうか。
これらの作品は、実はエバ・ペロンの「影の部分」をもとに作られています。 有名になるため積極的に有力者に接近して媚を売り、後にアルゼンチンの大統領となるフアン・ドミンゴ・ペロンと結婚してからは贅を極めた生活を送った女性の一生にスポットが当てられているのです。
でも、アルゼンチンにおけるエビータはあくまでも「強く生きる女性」の象徴。歴史的英雄として今もなお国民から愛され続けています。その理由が一目でわかるのが、ここ「Museo Evita」(ムセオ・エビータ=エビータ博物館)。ここでは、エビータの生い立ちと一緒に、彼女がアルゼンチン国民のために行なった重要な活動が紹介されています。


エビータは1922年5月7日、農場主であり政治家でもあったフアン・ドゥアルテと、その愛人フアナ・イバルグレンの間に誕生しました。1926年にフアンが事故死するや、母フアナは愛人という立場上、それまで住んでいた農場を追い出され、4人の子供を抱えたまま路頭に迷うことに。やがてドレスメーカーとしての職を得て、女手ひとりで子供たちを育てることになりますが、そんな母親の強くたくましい姿を見ながら育ったエビータは、貧しい生活にめげることなく、いつかは幸せをつかむのだという野望を抱き、15歳で首都ブエノスアイレスに上京します。

上京後、間もなく劇団に入団して小さな役をもらったエビータ。飛び切りの美人だったわけではありませんが、人を惹きつける天賦のスター性を秘めていたのでしょう。やがてラジオドラマや映画にも出演するようになり、どんどん活躍の場を広げて行きますが、1944年1月22日、彼女の運命が大きく変わる出来事が起こります。サン・フアン州で起きた大地震の被災者に義援金を送った女優たちが政府の式典に招待され、そこでエビータは、後にアルゼンチンの大統領となるフアン・ドミンゴ・ペロンと出会ったのです。二人はすぐ恋に落ち、1945年10月22日に結婚。翌年、ペロンが大統領に立候補すると、エビータは積極的に選挙運動に参加し、ペロンの勝利に大きく貢献しました。
大統領夫人となったエビータは、それまで究極の男尊主義国家だったアルゼンチンにおいて、女性参政権の導入を実現させます。また、エバ・ペロン財団を築き、恵まれない子供たちに衣食住と教育の機会を与えたり、労働者のための住宅建築や看護学校の設立といった慈善活動を行いました。博物館には、それらの活動を垣間見ることのできる写真や映像、所縁の物品が残されています。

労働者階級の国民からは圧倒的な支持を得たエビータでしたが、愛人の私生児という身分や、十分な教育を受けていないのに政治に参加していることが、貴族階級の人々や軍部の長官、文化人たちから反感を買っていたことも事実。また、有名になるため多数の男性に近づいたり、税金を使ってフランスやイタリアの超一流ブランドのドレスや靴を次々と購入していたことが非難されたり、財団を利用して私腹を肥やしていたという噂が立ったりしました。そこがミュージカルでも取り上げられている「影の部分」です。

博物館では、そういった影の部分について書かれている雑誌や新聞の他、エビータが着用した数々の美しいドレスや高価なバッグ、靴なども展示されていて、彼女のそういった一面を真っ向から否定するような意図は感じられません。そんなことよりも、展示物を一通り見終えて印象に残るのは、エビータの行動力です。逆境に負けず、世間体も気にせず、女性としてとことん強く、美しく振舞った彼女の魅力。口ばかりで何も行動を起こさない人が多い中、エビータのような貧しい環境で育った女性が33歳の若さで他界するまでに実現させた数々の功績は、素直に評価されて良いのではないかというのが、私の感想です。

博物館そのものは30分足らずで見て回ることができるので、併設されているカフェレストランでの食事又はお茶を兼ねてお出かけすることをおススメします。カフェレストランの紹介は過去の記事(こだわりカフェめぐり・その10)をご参照ください。
Museo Evita
Lafinur 2988(Las Heras大通りとJuan Maria Gutierrez通りの間 / パレルモ地区)
Tel. 4807-0306
公式サイト:http://www.museoevita.org

*追記1:館内のショップでは絵葉書やポスター、アクセサリーなども販売されているので、おみやげ探しにぜひのぞいてみてくださいね!

Saturday, August 25, 2012

こだわりカフェめぐり その12 [POROTA]


ちっちゃくて、テーブルの数も限られているのだけど、ほっこり落ち着くことができて、いつ行っても美味しいものがある!と安心して出かけられるカフェが好き。以前紹介した「Farinelli」同様、ここ「POROTA」(ポロータ)も、そんなお気に入りのひとつ。朝のブレックファストからランチ、午後のティータイムに至るまで、いつもお腹と心を満足させてくれるメニューが揃っています。

「ポロータ」とはスペイン語で「豆」という意味ですが、オーナーであるミレン・アルガラニャスのお祖母さんの愛称でもあり、それがお店の名前の由来となっています。ポロータ祖母さんからお料理を教わったミレンが、思い入れのあるレシピをもとにお店のメニューを作ったのだそう。
 お店の中は、ポロータ祖母さんが使っていたという古いキッチンツールや、シャビーなアンティーク&ヴィンテージグッズでいっぱい。しかもマフィンやスコーンが陳列されているテーブルには、アルゼンチンの昔懐かしい駄菓子まで置かれていて、可愛くて温かくてレトロな内装に思わず胸キュン。マフィンは毎週木曜日、2つ買うと3つめが無料になるという嬉しいサービスも!
←こちらは名物のブランチメニューのひとつ「Brunchero」(ブランチェーロ)。このプレートに、カフェオレ、フレッシュジュース、フルーツのヨーグルト&グラノーラがけ(画像上)がセットになっています。チーズスコーンの上にのっかったスモークサーモンのクセのない美味しさはやみつきになりそう。
平日のお昼には、カフェ定番のサンドイッチやキッシュの他に日替わりのランチメニューがあって、パスタ、肉料理、卵料理、ハンバーガー、スープ といった中から日ごとに3~4種類がピックアップされます。
パーティーや様々なイベント向けのケータリング・サービスや、「vianda」(ビアンダ)と呼ばれるお弁当サービスも行なっているので、お店は毎日大忙し!平日の13時過ぎや土曜日の午後などの、混雑する時間帯を避けてお出かけになることをおススメします。







POROTA
Gorriti 5881 (Ravignani通りとCarranza通りの間 / パレルモ・ハリウッド地区)
Tel. 4770-9234
*公式サイト:http://www.porota.com

Wednesday, July 25, 2012

マーケットでのんびり過ごす週末 [Buenos Aires Market]



昨年、ニューヨークのユニオン・スクエアのグリーンマーケットでお買い物をしながら、「こういうオーガニックフードのマーケットがブエノスアイレス市内にもあったらいいのにな~」なんて思っていたところ、今年の4月からグルメ雑誌「Planeta JOY」による主催で「Buenos Aires Market」というイベントが不定期に開催されることになりました。これまで4月と6月に行なわれ、今回(7月21日~22日)は3回目。お天気も良く、お散歩にはもってこいの週末だったので、私もエコバッグを持って出かけてみました。

場所はサンテルモ地区のカセーロス通り。19世紀末期から20世紀初頭にかけて造られた美しい建物に囲まれた、まさに「ブエノスアイレスを象徴する街角」といえるロケーションです。出店数は60軒、そしてさすがグルメ雑誌の主催だけあって、本場フランスのパン職人のブランジェリー「L’épi」、都会の疲れるサラリーマンにヘルシーフードを提供する「Platon」(画像左下)、 サンテルモ地区を代表するナチュラルフードレストラン「Hierbabuena」(画像右)などなど、人気のお店も登場。オーガニックフードのマーケットでは、作る側と消費者が直接コンタクトを取ることができるのが特徴でもあり利点でもあるので、どのお店もオーナーたちが自ら接客しています。「L’épi」なんて、グルメ番組にも出演する有名なパン職人オリヴィエ本人が出てきてるものだから、ただでさえパンを買うお客さんでいっぱいなのに、オリヴィエ見たさに人が集まって大混雑!
L’épi」のあまりの大盛況ぶりに気圧されて、目的のひとつだったパン・オ・ショコラが買えなかった私でしたが、オーガニックワインや産地直送の野菜を買ったあと、「Platon」の美味しいキッシュで軽くランチして満足。設置されているテーブルで買ったばかりのサンドイッチを食べる人もいれば、歩道の縁に腰掛けてフレッシュジュースを飲む人、ヴィーガンのカップケーキを歩きながら頬張る女の子など、それぞれが好きなようにヘルシーフードを楽しむ光景に心も和みます。
ちょうどカセーロス通り沿いには、上記の「Hierbabuena」の他、私もお気に入りのビストロ「Caseros」や、「La Popular」、「Club Social」といったバールがあり、いずれも外にテーブルを出しているので、そこで食事やカフェをしながらマーケットの様子をゆっくり眺めるのも楽しそう。有名フードコーディネーターによるトークやヨガ教室なども行なわれるので、のんびりしたい週末にもってこいのイベントです。不定期開催なのが玉に瑕ですが、興味のある方は「Planeta JOY」のウェブサイトをこまめにチェックして、次回のマーケットのお知らせをお見逃しなく! 
Buenos Aires Market 
Caseros通りの400番台 / サンテルモ地区
☆こちらの動画でマーケットの様子を見ていただくことができます: http://vimeo.com/42417810

*追記:エコライフを推奨するブランドとして、このブログでもお馴染みの「Violraviol」も出店しているので、マーケットのお知らせは「Violraviol」のメールマガジンでも届きますよ!

*追記2:8月19~20日にはパレルモ公園でも実施されました! 

Thursday, July 19, 2012

アルゼンチンの守護聖母 [Nuestra Señora de Luján]

皆さんは、アルゼンチンの守護聖母「Nuestra Señora de Lujan」(ルハンの聖母)のお話を知っていますか?
1630年、アルゼンチン北部の街サンティアゴ・デル・エステーロに住むポルトガル人のカトリック信者が、ブラジル在住の友人に聖母マリア像の製作を依頼し、輸送してもらったときのこと。船でブエノスアイレス港まで無事に到着したあと、陸路で1150km離れたサンティエゴ・デル・エステーロまで運ばれることになっていましたが、ブエノスアイレスから西におよそ70kmの地点で、荷物を運んでいた牛たちが突然動かなくなってしまいました。
それまでは疲れた様子もなかったのに、どういうわけか前に進まなくなった牛たち。不思議に思った配達人たちは重い荷物を降ろしてみましたが、全く効果はありません。いろいろ試した挙句、高さ38cmの小さなマリア像を降ろしてみると、なんと牛たちは何事もなかったかのように歩き始めるという不思議なことが起きました。

そこで配達人たちは、マリア像がその場に留まることを告げているのだと解釈。マリア像は一旦近くの農場主に預けられ、後に近郊のルハンという町にマリア像を祀る小さな礼拝堂が作られました。やがて、「ルハンの聖母が願いを叶える」という噂が広まって多くの信者が集まるようになると、礼拝堂はどんどん拡大され、1935年に立派な大聖堂に変貌。これが現在、アルゼンチンのカトリック信者たちの巡礼地となっているBasílica de Nuestra Señora de Lujan(ルハン大聖堂)というわけです(→右の画像は大聖堂の内部。ステンドグラスとシャンデリアの美しさに思わず目を奪われてしまいます)。
もともとルハンの聖母はテラコッタ製であったために、時を経て表面が劣化。その後、銀製のマントで保護されることとなり、現在のような姿(画像上)になりました。国旗の色をまとった、いかにもアルゼンチンらしい聖母は、ブエノスアイレスの街中でもあちこちで見かけることができます。
アルゼンチンに来た思い出として、またはこの国の恩恵を受けながら生活する者として、アルゼンチンの守護聖母をお守りとして身につけてみてはいかがでしょう。ルハン大聖堂の周辺には、このルハンの聖母をモチーフとしたグッズを売るゴンドラがたくさん並んでいるのですが、私はいつも大聖堂に隣接したSanteria(サンテリア=教会グッズのお店)にて、おみやげ用に左の画像にあるようなチャームを購入します。直径8mmくらいの小さなもので、シンプルでとても可愛いのですよ。グッズを買ったあとは必ず、大聖堂の入り口手前にいる神父さんに、聖水をかけてもらってお清めすることを忘れずに。


☆ルハン大聖堂へは、路線バスの57番や鉄道でも行くことが可能ですが、道中の安全のためには車か、もしくはブエノスアイレス市内からルハンまで直行するミニバンやハイヤーのサービス利用をおススメします。下記のサイトに、ルハンまでのミニバンサービスを運行している会社の一覧がありますのでご参照ください。
Que Hacer en Lujan: http://www.quehacerenlujan.com.ar/directorio/comercial/transportes/servicio-de-combis-y-charter.html

Friday, March 16, 2012

アットホームなパリージャ [Donca]

アルゼンチン名物といえば「parilla」(パリージャ)と呼ばれる炭焼き肉。どの街にも、美味しい肉料理がいただけるパリージャのレストランが点在しています。でも、同じパリージャといえども、パリのギャルソンのようにきちんと制服に身を包んだウェイターさんたちがきびきびと動く由緒正しい老舗もあれば、若者に大人気のカジュアルでモダンなお店など、雰囲気も実に様々。いろんなスタイルのお店がある中で今回紹介するのは、流行のパレルモ・ソーホー地区にあるとてもアットホームなパリージャ「Donca」(ドンカ)です。
ドンカとは、オーナーであるドン・カルロスさんの子供の頃からの愛称。ご祖父さんもお父さんも「カルロス」という名前だったため、お父さんはカルリートス(カルロスちゃん)、その子供はあえてドン・カルロス(カルロス殿)と呼ばれることになり、略してドンカ(笑)。そして、愛着のある自分の愛称をレストランの名前にしたのだそう。
他のパリージャとの大きな違いは、ドンカさん(画像右)自らが全てのテーブルをアテンドしていること。お店が混雑する週末の夜だけはアシスタントがつきますが、お客さんが満足しているかどうか、ドンカさんは常に気を配らせています。呼ぶたびに笑顔で応対してくれるドンカさんの人柄からか、何となく親しい友達の家に食事に来ているような気分に。

さて肝心のパリージャなのですが、ドンカさんが独自のルートで仕入れているというお肉は柔らかく美味で、焼き加減も注文どおりで文句なし。肉料理だけでなく、自家製パスタもこしがあっておいしい。お料理のあとは、アルゼンチンの代表的で素朴なデザートの盛り合わせ(画像左)を味わって。お馴染みのフランにドゥルセ・デ・レチェ、カスタードクリームを固形にしたような不思議な食感のアンブロシアに、卵黄たっぷりのトシーノ・デ・シエロと、とにかく全部甘~いので、2~3人でシェアすると良いでしょう。
そして、やっぱりここにもいましたよ、あのペンギンさんたちが!ひとつひとつに手描きのイラストが施されたなんとも愛くるしいピッチャーたち、ペイントしているのはドンカさんのお母さまなのだそう。お店で実際にワインのデカンタとして使われていますが、売りものでもあるので、観光で訪れている人たちがアルゼンチンの思い出としてお気に入りの1本(1羽?)を買って行くのだとか。
広くて大きなレストランもいいけれど、ビストロのようにこじんまりとしたアットホームなパリージャで楽しむ「アルゼンチンの味」は、また格別な感じがします。

Donca
Charcas 4799(Godoy Cruz通りとの角)
Tel. 4777-1071
*公式サイト:http://www.donca.org

*残念ながら閉店してしまいました。

Tuesday, February 28, 2012

青空アートギャラリー その2 [ブエノスアイレスのストリートアート]

ブエノスアイレスを歩いていると、常時視界に飛び込んでくるストリートアート。実はブエノスアイレスは、こういったストリートアートを積極的に支援している街。市の規則で、建築物の主の許可さえあればそこにアートを施しても良いとされていること、地区によっては大規模な廃墟があり、そこが恰好のキャンパスと化していることといった理由から、アルゼンチン国内だけでなく、海外の有名なアーティストたちも集結して、数多くの芸術作品を残しています。
でも、大作と呼ばれるものの大半は、観光客が行くことなど絶対にない地区に集中しているもの。そこで、なかなか人目につかない、たくさんの大規模なアートを「この街を訪れる人にぜひ見てもらいたい」という発想から、ブエノスアイレス在住のイギリス人ジャーナリスト、マット・フォックス・タッカー(Matt Fox-Tucker / 画像右)が自らガイドとなって、ストリートアートのツアーを行なっています。


マットは、ブエノスアイレスのストリートアートを紹介した本「Textura Dos」の著者。アルゼンチンを始め、世界中のアーティストたちと密にコンタクトを取り、彼らの最新情報を随時追っています。そんなマットの詳しい説明を聴きながらアートを観始めると、ひとつひとつの作品の奥深さ、各アーティストの思い入れ、ストリートアートならではの問題や葛藤など、今まで全く知らなかった未知の世界にどんどん引きずり込まれるような感覚に。
 ツアーの間、違う場所に移動して同じアーティストの作品に出会うと、「あ、またこの人の絵!」とすっかり親近感を抱いて見入ってしまうことも。驚いたのは、数年前に描かれた作品についてマットが「これは古いもの」と説明していたこと。よほど権威あるアーティストの作品でもない限り(時にはそうであっても)、他の人が上からどんどん描いて、容赦なく消されて行ってしまうのです。マットまで「これは先週まではなかったな」と呟きながら、新しい作品を写真に収めたり。でもマットによると、その変革の速さこそ、アーティストたちの創造意欲を掻き立たせるのだとか。まさに、目まぐるしく移り変わる現代社会を象徴しているモダンアートといったところでしょう。
最近では、アーティストを養成するための教室が開かれる機会も増えていて、カラースプレーの使い方や、ステンシル画の作り方などを教えてくれるのだそう。今後、新しいアーティストたちによって、更に面白くて素晴らしい作品が増えることに期待しています。

☆ストリートアート・ツアーの詳細はこちら:http://www.buenosairesstreetart.com/tours

*追記1:マットが英語で案内するストリートアート・ツアーは、ブエノスアイレス市内を3時間近く歩き続けるウォーキング・ツアーです。途中、Colegiales駅からSaavedra駅間を電車で移動したり、人気のないところを歩いたりするので、歩き易い靴に楽な服装で、念のため、高価なものはできるだけ身につけずに参加されることをお勧めします! 

*追記2: 下の動画は、世界的に有名なイタリアのストリートアーティスト「Blu」がブエノスアイレスで作成した短編映画「MUTO」。絵を描くのに7ヶ月、編集に6ヶ月もかけて作られたもので、Youtubeでは1000万回以上も視聴されている有名な動画です。いくつもの作品をブエノスアイレスに残しているBluの不思議で独特な世界をぜひご堪能ください。


ブログをなかなか更新することができないので、「ブエノスアイレスの日常」をインスタグラムにてゆるりと紹介しています。これからはこちらをフォローしていただけると嬉しいです♪ http://www.instagram.com/jpportena