前回、「ブエノスアイレスのピザは世界的に評判が悪い」ということと、ここのピザは独特の「ポルテーニョ(ブエノスアイレス)・スタイル」であることを紹介しましたが、では本格的なピザは食べられないのか?という心配はご無用。ちゃ~んと本場イタリア・ナポリの「ピッツァ・ナポレターナ」を焼いているピッツェリアがあるのです。
「Siamo Nel Forno」(シアモ・ネル・フォルノ)は、ポルテーニョ・スタイルのピザを酷評する欧米人の方々はもちろん、グルメなポルテーニョたちからも高い評価を受けているピッツェリア。「Siamo Nel Forno」とは、ポルテーニョたちがよく使う「estamos en el horno」という決まり文句のイタリア語訳。直訳すると「我々は釜戸の中にいる」、つまり二進も三進も行かない、とっても大変な状態にあるときに使う台詞。これに、お店の自慢である石釜を引っ掛けたネーミングというわけです。
なんたってこの石釜は、オーナー兼ピッツアイオロのネストル・ガットルナがナポリから取り寄せた本物。中の温度を400度以上まで熱してから、ピザを60~90秒で焼き上げます。一番人気があるのはシンプルなMargherita(マルゲリータ / 画像左下)。生地の周りはきめ細かくてもっちもち、中心は薄くてパリパリ。上質のモッツァレラに、新鮮なバジルの香りとトマトソースというお馴染みの組み合わせによる、安心できる美味しさです。
でも、スカスカのパンのような生地にチーズどっかりのポルテーニョ・スタイルのピザが大好きな夫は、これでは物足りない。それならばとお店の人が勧めてくれたのがカルゾーネ。ピザ生地を半分に折り、中に様々な具を詰めたもので、まるで巨大なエンパナーダみたい。 高温でさっと焼き上げたカルゾーネもやっぱり、外が香ばしくパリパリ、中はふわふわでもっちもち。薄いピザよりも食べ応えは十分です。
この他、チーズとガーリックだけで焼いた生地の上に生のほうれん草がたっぷり載せられたSpinaci(スピナッチ)、前菜にはプロヴォローネとプロシュートの盛り合わせなどが人気のメニューだそう。飲み物はもちろん、イタリアのビール「Moretti」が大人気。デザートには、ピザ生地の間にヌテッラを挟んだPane Bianco con Nutellaを食べたかったのですが、さすがに追加カルゾーネのせいで粉ものはもうお腹が受け付けず。焼きりんごやパンナコッタもこの日に限って準備できていなかったので(残念!)、ティラミスとillyのリストレットをいただいて、大満足でお店を出ました。
業界人が集まるパレルモ・ハリウッドにある人気のお店なのに気取ったところがなく、内装も簡素。家族や友達が集まって、わいわいと明るく賑やかな雰囲気の中で食べる本場のピザに、しばらく病みつきになりそう!
Siamo Nel Forno
Costa Rica 5886(Ravignani通りとの角近く / パレルモ・ハリウッド地区)
Tel. 4775-0337