Thursday, February 16, 2012

アルゼンチンの習慣 その1 / 食後にカフェ・コン・レチェはおかしい?



イタリア移民の多い国とあって、アルゼンチンにも「コーヒーを飲む習慣」が定着しています。でも、立ったままリストレットを嗜むイタリアとは違い、ポルテーニョ(ブエノスアイレスっ子)にとって「tomar un cafe」(カフェを飲む)ということは、テーブル席にゆっくり座って、飲みながらおしゃべりすること。その証拠に、ブエノスアイレス市内のスターバックス・コーヒーには、テイクアウト専門店は皆無。どのお店にも、ゆったり座れるスペースが十分に設けられています。街中でも、紙コップに淹れられたカフェを飲みながら歩いている人は、他の大都市と比べると断然少ないのです。(画像左:Caserosのコルタード)
つまり、もし「カフェを飲みませんか?」と聞かれたら、「一緒に座ってちょっとお話しませんか」というお誘いの意味。久しく会っていない友達への「Nos debemos un cafe!」(カフェしないとね!)なんていうお決まりの言葉もあるくらい。マテ茶と同じで、それを飲むということ以外に、人との大切なコミュニケーションの時間を共有するためのものなのです。(画像右:Farinelliのカフェ・コン・レチェ)

ブエノスアイレスのカフェテリアやレストランでカフェを頼むとき、基本となるのはこの5種類です。
  • Cafe solo(カフェ・ソロ):エスプレッソ式で抽出された濃い目のブラックコーヒー
  • Cafe cortado(カフェ・コルタード):ミルクをちょっと入れたコーヒー
  • Cafe con leche(カフェ・コン・レチェ) :大きなカップに入ったカフェオレ 
  • Cafe con crema(カフェ・コン・クレマ):クリームを1~2さじ浮かべたコーヒー
  • Lagrima(ラグリマ):ホットミルクにちょっとだけコーヒーを入れたもの
この他に、お店によってはカプチーノやリストレット、エスプレッソと、日本でも馴染みのあるコーヒーがメニューに含まれているところもあります。


ここで気をつけたいのがカフェ・コン・レチェです。カフェ・コン・レチェは通常、朝食時、または午後のおやつの時間に飲むもので、食後のコーヒーではありません。大きめのカップにたっぷりのミルクが入っていて、それだけで空腹を満たしてくれるものだからです。これは、フランスでのカフェオレも、イタリアでのカプチーノも同じこと。ある人は食後にカフェ・コン・レチェを頼み、ウェイターさんから「食事だけでは物足りませんでしたか?」と聞かれたことがあったそう。タブーではないので、食後に飲んでも何ら問題はありませんが、「普通は飲まないもの」ということを覚えておくのはひとつのマナーかもしれません。(画像左:Helenaのラグリマ)
でも、コルタードはコーヒーの量が多すぎて苦いこともあるので、食後にどうしてもカフェ・コン・レチェのように、コーヒーとミルクが半々のものが飲みたいという場合は「cortado, mitad y mitad」(コルタード・ミタ・イ・ミタ)と頼めばOK。発音が難しそうに感じますが、日本語で「見たいみたい」と言うように発音すれば完璧です(笑)。もっとソフトなミルク入りコーヒーが欲しい時はラグリマにするといいでしょう。私ももっぱらラグリマ、夫はいつもミタ・イ・ミタです。
(画像右:我が家のカフェ・コン・レチェ)

これからもアルゼンチンの習慣についてのお話を紹介していく予定です。どうぞお楽しみに!

☆追記:本来、食後に理想的なのはカフェ・ソロ、つまりブラックコーヒー。カフェインには胃液の分泌を促す効果があり、消化を助けてくれるからです。こってりした肉料理のあとにカフェ・ソロを飲むと、胃がす~っと落ち着くように感じられますよ。

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