Tuesday, February 28, 2012

青空アートギャラリー その2 [ブエノスアイレスのストリートアート]

ブエノスアイレスを歩いていると、常時視界に飛び込んでくるストリートアート。実はブエノスアイレスは、こういったストリートアートを積極的に支援している街。市の規則で、建築物の主の許可さえあればそこにアートを施しても良いとされていること、地区によっては大規模な廃墟があり、そこが恰好のキャンパスと化していることといった理由から、アルゼンチン国内だけでなく、海外の有名なアーティストたちも集結して、数多くの芸術作品を残しています。
でも、大作と呼ばれるものの大半は、観光客が行くことなど絶対にない地区に集中しているもの。そこで、なかなか人目につかない、たくさんの大規模なアートを「この街を訪れる人にぜひ見てもらいたい」という発想から、ブエノスアイレス在住のイギリス人ジャーナリスト、マット・フォックス・タッカー(Matt Fox-Tucker / 画像右)が自らガイドとなって、ストリートアートのツアーを行なっています。


マットは、ブエノスアイレスのストリートアートを紹介した本「Textura Dos」の著者。アルゼンチンを始め、世界中のアーティストたちと密にコンタクトを取り、彼らの最新情報を随時追っています。そんなマットの詳しい説明を聴きながらアートを観始めると、ひとつひとつの作品の奥深さ、各アーティストの思い入れ、ストリートアートならではの問題や葛藤など、今まで全く知らなかった未知の世界にどんどん引きずり込まれるような感覚に。
 ツアーの間、違う場所に移動して同じアーティストの作品に出会うと、「あ、またこの人の絵!」とすっかり親近感を抱いて見入ってしまうことも。驚いたのは、数年前に描かれた作品についてマットが「これは古いもの」と説明していたこと。よほど権威あるアーティストの作品でもない限り(時にはそうであっても)、他の人が上からどんどん描いて、容赦なく消されて行ってしまうのです。マットまで「これは先週まではなかったな」と呟きながら、新しい作品を写真に収めたり。でもマットによると、その変革の速さこそ、アーティストたちの創造意欲を掻き立たせるのだとか。まさに、目まぐるしく移り変わる現代社会を象徴しているモダンアートといったところでしょう。
最近では、アーティストを養成するための教室が開かれる機会も増えていて、カラースプレーの使い方や、ステンシル画の作り方などを教えてくれるのだそう。今後、新しいアーティストたちによって、更に面白くて素晴らしい作品が増えることに期待しています。

☆ストリートアート・ツアーの詳細はこちら:http://www.buenosairesstreetart.com/tours

*追記1:マットが英語で案内するストリートアート・ツアーは、ブエノスアイレス市内を3時間近く歩き続けるウォーキング・ツアーです。途中、Colegiales駅からSaavedra駅間を電車で移動したり、人気のないところを歩いたりするので、歩き易い靴に楽な服装で、念のため、高価なものはできるだけ身につけずに参加されることをお勧めします! 

*追記2: 下の動画は、世界的に有名なイタリアのストリートアーティスト「Blu」がブエノスアイレスで作成した短編映画「MUTO」。絵を描くのに7ヶ月、編集に6ヶ月もかけて作られたもので、Youtubeでは1000万回以上も視聴されている有名な動画です。いくつもの作品をブエノスアイレスに残しているBluの不思議で独特な世界をぜひご堪能ください。


ブログをなかなか更新することができないので、「ブエノスアイレスの日常」をインスタグラムにてゆるりと紹介しています。これからはこちらをフォローしていただけると嬉しいです♪ http://www.instagram.com/jpportena